東京新聞宛て抗議文
2019年5月18日、東京新聞夕刊にてピースウインズ・ジャパン代表の大西健丞氏の記事が掲載された件につき、日本の保護犬猫の未来を考えるネットワークとして、弁護士を通じて5月30日東京新聞社会部宛てに以下の抗議文を送りました。
抗議対象の記事はこちらです。
東京新聞宛て抗議文(一部要約)
2019年5月30日
東京新聞 社会部 御中
日本の保護犬猫の未来を考えるネットワーク
前略
東京新聞2019年5月18日夕刊一面掲載の記事「広島・犬シェルター 小さな命 すべて救う」(以下「記事」といいます)に対し、意見を申し上げます。
記事では、NPO法人ピースウィンズ・ジャパン(以下「ピースウィンズ」といいます)の取り組みが殺処分ゼロを達成させ、すべての犬を救う素晴らしい取り組みであるかのように好意的に記載され、大西健丞氏を美化する一方、ピースウィンズへの批判的な動きは、あたかもこの素晴らしい取り組みへの逆風のような位置づけで書かれています。
当ネットワークは、ピースウィンズを動物愛護法違反で刑事告発しておりますが、記事は一方的なものであり、ファクトチェックがなされているとは思えない内容で、ピースウィンズが刑事告発されている事実は認識しながら、その内容を確認することもなく、過小評価しているとしか言いようがなく、極めて遺憾です。
ピースウィンズは、その飼育能力も考えず、次々と犬を県から引き出し飼育しているため、施設は慢性的な過密収容状態に陥っています。狭い犬舎に閉じ込められ劣悪な環境にある犬たちは、極度のストレス状態の中、弱い犬を集団で攻撃し、噛みつくなどし、攻撃された犬は、犬の急所である首や内股などを噛まれ、深さ3~4センチの深さの傷となり、頸動脈に穴が開いて死亡したり、他の犬たちから強く圧迫され死亡する個体もおり、真っ赤に血に染まった犬たちの死体が転がる状況は凄惨極まるものです。
また、ピースウィンズは、収容した犬の不妊・去勢手術を基本的に行わない方針をとっていることでも有名であり、多くの動物保護団体から批判されていますが、記事ではその問題点には一切触れられていません。スコラ高原シェルター内では子犬もよく生まれおり、子犬は、寄生虫や原虫の感染で死亡し、夜に出産があった場合、スタッフが子犬を犬舎から取り出せずそのままになっているため、血の匂いのする子犬は過密状態の犬舎の中で他の犬に食べられてしまうこともあり、その場合は、朝になると肉片のみ犬舎に残っていることもありました。
このように、ピースウィンズは犬同士が殺しあう過密状況を作出しており、そのことを認識しながら新たな犬を受け入れ続けています。記事では、施設に関しても、あたかも保護犬の先進国ドイツを参考にした素晴らしいものかのような記載がありますが、過密状態のスコラ高原シェルターは確認されたのでしょうか。
当ネットワークの告発は、このように犬たちにとって悲惨としか言いようのないピースウィンズの状況をストップさせるために行われたものです。多くの元職員が、このような状況に心をいため、残してきた犬たちのことを思い、勇気を振り絞って告発への協力へ踏み切っております。そのような元職員の心を傷つけることのないような記事掲載をしていただきたく思います。
ピースウィンズは、殺処分ゼロと言いながら、実際には犬たちにとっては殺処分よりもひどい状況を作出しているといえます。ピースウィンズは、狂犬病予防法違反でも書類送検されていますが、記事は、法の順守よりも殺処分ゼロの維持がすばらしいかのような印象を一般読者に与えています。日本は法治国家ですから法の順守という観点からも、また動物福祉の観点からも、動物愛護法等の法律を順守した中で殺処分ゼロは進められなければなりません。記事は、殺処分ゼロを邪魔しているのが、法の順守を求める当ネットワークであるかのような誤解も読者に与える内容であり遺憾です。違法行為を正当化するような記事は、新聞の社会的使命とはかけ離れます。
また記事は、殺処分ゼロを至上のものとするあまり、動物の福祉に反する虐待になってはいないかという点の反省をする最近の流れからも逆行しています。
また、ピースウィンズ関係者の依頼により、東京新聞がピースウィンズの擁護記事を書いたのだとしたら、東京新聞夕刊一面がピースウィンズ擁護の広報記事になってしまっているとも言え、新聞としては社会的公正性を欠くのではないでしょうか。
今後は、ピースウィンズを記事で扱うにしても、一方的に美化・好意的に扱うのではなく、告発されている内容も含め、総合的に現状を踏まえた記事をご執筆いただきたく思います。貴社にそのつもりがあれば、当ネットワークもお話しさせていただくことも可能です。
草々