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PWJからの回答

3月15日付けで送付したPWJへの公開質問状ですが、4月7日にご回答を頂きました。

これだけの質問内容に対し、約2週間という回答期限は短かすぎるというご指摘については、こちら側も反省すべき点であり、取りあえずご回答を頂けたことに謝意を表します。

 

以下、回答書全文です。

(それぞれの回答の下に、私たちが感じた疑問、感想を簡単にコメントさせていただきました)

answer1

質問1

残念ながら、殺処分ゼロが途切れていた事実に対する直接の回答はいただけませんでした。

ただ、PWJが手本としているドイツのティアハイムでは注射での安楽死は行われており、狩猟等でも毎年膨大な犬猫が殺処分されているにも関わらず、彼らがこれまでドイツを「殺処分ゼロの国」と喧伝していることから推察すると、日本のような行政によるガス処分が存在しない、あるいはガス処分機が作動していない状態のことを「殺処分ゼロ」と定義しているのではないでしょうか。

(PWJは注射等での安楽死は「殺処分」にはカウントしていないと思われます。しかし、PWJも使っている日本政府の統計では、これらの数字も当然、殺処分に計上されています。)

answer2

質問2

世界有数の地震国である日本において、有事の際、確実に過剰繁殖による2次災害を防ぐ方法は、今のところ不妊手術以外に存在しません。例えシェルターが地震に強い構造であったとしても、スタッフ自身が被災し、大混乱した現場でどうやって、誰が、発情中の犬を含め1000頭以上もの犬を管理できるのでしょうか?飼い主の管理から離れてしまう可能性についてはペットショップや一般家庭も同じとの発言については、動物福祉を掲げ、自らが多数の保護動物を抱え、社会に対し、適正保管、適正飼育の模範となるべき動物愛護団体の言うこととはとても思えません。災害時の犬猫の繁殖や殺処分の抑制に貢献していると言われる取り組みについても、一旦野に放たれた被災動物の繁殖が簡単に抑止できないことは、福島や熊本等、これまでの被災地の現状を見れば明らかです。

PWJは長年やってきた人間に対する復興支援活動の経験を、動物保護活動に生かしていると言っていますが、全く本質が異なる活動だと思います。

answer3

質問3

1.質問に対する回答がなく、如何にフォローアップしているかという説明をされていますが、逸走事故の多くは譲渡後半年以内に起こっています。

また、調査の内容に「繁殖の有無」があるということは、当然、産ませてしまう飼い主がいるということであり、その場合、PWJとしてどのような対応を取っておられるかも重要な点です。逸走や遺棄などの追跡調査をどこまで行っているのか等、実態を明らかにするためにも、調査結果の公表を望みます。

 

2.私たちは動物福祉的観点から、未手術の犬のストレスについて、どのような見解をお持ちかお尋ねしましたが、それに対する回答がまったくありませんでした。また、発情期のカレンダー管理なるものが、約1200頭もの雌雄一緒に保管されている現場で、たった50人程度のスタッフによって確実に実施できているとは到底思えません。

3.現在、元PWJスタッフや関係者から、譲渡後行方不明になった犬の情報などがいくつか入ってきております。また、「飼いきれない場合は再度PWJが引き取ることが可能」とありますが、同団体の譲渡契約書によると、引き取る場合は同団体に15万円を支払うことが明記されており、いくら意識の高い飼い主であっても、この金額を払ってまで同団体に返す方が実際にどれだけいるのか甚だ疑問です。そもそも譲渡犬の多くは元野犬であり、犬に対する知識、経験が相当豊富でなければ扱えないという点を考えれば、継続的な適正飼養が難しくなる飼い主は少なくないと思われます。

answer4

質問4.

野犬については、あくまでも捕獲は行政が行っているものであり、同団体では取り組んでいないとのことですが、元をたどれば野犬問題は、不妊手術がされていなかった犬たちが、迷子、もしくは遺棄され、野良になり、繁殖して不幸の連鎖が続いてきた結果であるということを、そもそも理解されているのでしょうか?

未手術飼育が放置されている限り、その場しのぎでいくら捕獲しても、永遠にこの問題はなくならず、「殺処分ゼロ」など実現不可能であると言わざるを得ません。

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answerothers

数字について

 

現在いる保護犬の総数1166頭中、不妊手術済はわずか27頭で、(活動が始まった2013年から2017年3月現在で、同団体自ら不妊手術した頭数は12頭)捕獲時にすでに妊娠していたとは言え、施設内でこれまで150頭もの子犬が産まれていたという事実に大変驚きました。

過剰繁殖問題において、犬猫の絶対数を減らす努力を最大限に行うべき愛護団体のあるべき姿ではないと思います。

回答書全体についての感想

 

決意を述べるばかりで、殺処分のない社会を実現していくための具体的ビジョンが、保護に次ぐ保護→施設拡大の繰り返しであることに大きな不安と説得力のなさを感じました。

PWJの活動の目的が、犬の絶対数を減らすことではなく、目前の犬をとにかく1匹でも多く救い出して、ガス処分機を止めた状態を維持することにあり、過剰繁殖問題を重くとらえないのであれば、今後も永遠に寄付を集め続け、次々と収容施設を拡大しなければならなくなるでしょう。

本来、私たち動物愛護団体の目標とは、まず不要とされる命を生み出さないこと、それにより、収容施設をどんどん減らしていくこと、そして最終的には愛護団体など必要のない社会を実現することであり、PWJの活動とは真逆のものです。

広島県においてはセンター収容の約半数が子犬子猫であるという現状の中、当初の譲渡率を大幅に下回り、すでに1200頭近くの犬を抱え込んだ状況で、不妊手術という蛇口の元栓を閉めないまま、「殺処分ゼロ」をキャッチコピーに次々と資金援助を呼び掛ける彼らの戦略が、果たして本当に日本の動物愛護に寄与する活動なのか、支援者の方々にはどうか責任を持って考えて頂きたいと思います。

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