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※テキスト版全文です。

2017年3月14日

認定特定非営利活動法人

ピースウィンズ・ジャパン

代表理事 大西健丞様

 

認定特定非営利活動法人 

ピースウィンズ・ジャパン

ピースワンコジャパンプロジェクトリーダー

大西純子様

 

日本の保護犬猫の未来を考えるネットワーク

 

 

ピースワンコ・ジャパンプロジェクトにおける繁殖制限及び不妊去勢手術に対する考え方、それに伴う活動についての公開質問状

 

 

拝啓 時下益々ご健勝のことと存じ上げます。

私たちは主に東京都・神奈川県を拠点に動物愛護や福祉の活動に係る者です。不幸な犬猫たちを無くしたいとの思いから、余剰となる犬猫の繁殖を確実に防止する不妊去勢手術は動物愛護・福祉の根幹であると考え、長年に渡りその実践と啓発を続け、一歩一歩着実に収容数及び殺処分数の減少につなげてきました。

貴団体が殺処分数ワースト1であった広島県の現状を改善すべく立ち上がり、活動してこられたことには敬意を表しますが、同時に、貴団体のように大規模な保護譲渡活動を行う影響力の強い団体が、保護犬に不妊去勢手術を行わず譲渡を行っている現状は、私たちが長年かけて培ってきた不妊去勢手術の普及を覆すものになるのではと、強い危機感を感じております。

この件につきましては、広島県神石高原町の貴団体施設にて大西純子様とお会いして不妊手術をしていただきますよう直接要望し、また譲渡対象の犬猫に不妊手術を施すことを原則としている広島県にも、数年前より貴団体に対する再三の指導をお願いしてまいりましたが、事態はまったく変わっておりません。

このような経緯から、貴団体のプロジェクトであるピースワンコ・ジャパンの活動に関する疑問点として、主に「殺処分ゼロの定義」と「繁殖制限(不妊去勢手術)」に関して公開質問状という形式でお尋ねする次第です。

なお、この質問状は回答も含め、関係各所、報道、SNS等に公開とさせて頂きますことをお含みおき下さい。

 

質問1.「殺処分ゼロが途切れていること」について

  

2013年秋から始動した「広島の犬の殺処分ゼロ1000日計画」に伴い、2016年4月以降、殺処分対象犬の全頭引き取りを開始し、犬の殺処分ゼロを実現したとされる貴団体の取り組みですが、広島県動物愛護センターの速報値によりますと、昨年4月1日~12月末までに自然死・病死以外の「麻酔薬の注射による安楽死処分数」が犬については52頭上がっていることから、既に殺処分が再開されていた事が判明しております。

しかし、貴団体HPでは「広島の犬の殺処分ゼロ○○○日間継続中!」と広報を行い、昨年12月3日の朝日新聞では、「皆さんのご支援がなければ殺処分ゼロが途切れてしまいます。」と大々的にふるさと納税やご寄付を募っていました。

自然死・病死以外の「麻酔薬の注射による安楽死処分数」は、これまで通常どの都道府県でも「殺処分数」として処理されているため、2016年度の広島県の殺処分数はゼロではないことは明白です。

広島県動物愛護センターの2016年4月からの犬のデータを確認した所、団体Aが484頭、貴団体が412頭、それ以外の団体や個人が149頭引き出しており、これらの多大な努力により犬の殺処分数が少なくなっていることは間違いがないことではありますが、ゼロと言い切ることには問題があると考えます。

貴団体の広告やその他記事等でも「殺処分ゼロ」が更新されているとの記述があり、このような事実と一致しない情報を広告や記事にて広く周知してしまっていることは、動物愛護運動全体への不信感にもつながりかねません。貴団体の主張する「殺処分ゼロ」、また「ゼロ更新」とは具体的に何を指しているのか、その定義についてご説明下さい。

 

 

質問2.「災害時に向けた危機管理体制について」

 

過去に日本で起こった大規模災害の事例として、阪神淡路大震災・東日本大震災・熊本地震等がありますが、どの被災地においても、未手術の犬猫による繁殖が、二次災害と呼べる問題を引き起こしています。

熊本県では殺処分が開始されただけでなく、震災後の混乱や犬猫の繁殖期も重なり、その収容数の多さから委託職員が同県に報告をせずに殺処分をしていたことが、2017年2月17日熊本日日新聞で報じられました。

 

貴団体には、現状でも1,000頭を超える犬がおり、来年度の見込みだけでも1,500頭の引き取りと発表しておられるその活動の規模に鑑み、不妊去勢手術を行うという社会的責任を当然果たすべきであると考えます。

 

貴団体は、ふるさと納税制度等を利用し、非営利団体としては最高位の認定NPO法人格を有していることからも、その活動には大きな社会的責任が伴うと考えられ、また母体が様々な被災地域での復興支援活動を行っているピースウインズジャパンであるだけに、災害時のシェルター管理体制も綿密にお考えのことと存じますが、不妊去勢手術を確実に実施されていれば軽減・回避できる不測の事態における個体数増加問題について、貴団体のご見解および危機管理体制を詳しくご説明ください。

 

 

質問3.「不妊去勢手術について」

 

1.本年1月28日に東京有楽町「ふるさとチョイスCafé」にて行われた貴団体主催の活動報告会の質疑応答の中で、再度「不妊手術を行っていない理由」をお尋ねしたところ、大西純子氏から「しっかりデータを取って、立証して、きちんと資料にして説明したい。それはもう近い。」と伺いましたので、具体的に①何のデータを取り②何を立証し③いつ説明されるのかご明示ください。

 

2. 不妊去勢手術は繁殖制限のみならず、多頭数の犬猫を保護するシェルターでは、犬猫自身の発情によるストレス回避に大きな役割を担っていると考えます。人の1億倍もの臭覚を持つと言われる犬の発情によるストレスをどのように回避されているのか、又、繁殖期のみ雄雌を分けるという貴団体の予防方法について、繁殖期にあるかどうかの見分け方も含め、詳しくご説明ください。

 

3.  貴団体の説明では健康管理、繁殖管理も含め、総合的に管理能力の高い飼い主を選んで譲渡を行っているとの事ですが、犬たちの繁殖に対する欲求の激しさは時にその想像をはるかに超え、問題行動を含めあらゆる手段で逸走したり、望まれない妊娠を引き起こしたりする可能性があります。結果、飼いきれずに遺棄や動物愛護センターでの収容に繋がるなど、管理能力だけでは防ぐことのできない問題についてはどのようにお考えでしょうか?未手術状態により、興奮し制御が難しくなった犬が咬傷事故を引き起こす可能性もあり、動物愛護法第1章第1条「動物による人の生命、身体及び財産に対する侵害並びに生活環境の保全上の支障を防止し、人と動物の共生する社会の実現を図る目的とする」にも反する問題と考えます。

 貴団体として、逸走や遺棄の問題が起きた場合、どのような対応をされているかについてもご説明ください。

 

 

  質問4.「広島県内の野犬および放浪犬の捕獲について」 

        

広島県内の野犬および放浪犬の過剰繁殖問題は明白です。近年メディア等でも地方都市における野犬の増加問題がたびたび取り上げられておりますが、センター収容の約8割が野犬又は野犬の子であるという事実を考えると、不妊手術の徹底も含め、早急に対処しなければならない問題と考えます。

2016年11月1日の中国新聞に「愛護センターの犬猫の収容数一転増加」  との記事が掲載され、このことについて大西純子氏より、「県内の野犬の捕獲を丁寧に行っているため、一時的に収容が増えているものの、地域にいる野犬を取り除くことで、そこでの繁殖はなくなり収容数も減って行く見通し...」とのご説明がありました。

大西純子氏の言われる繁殖予防を目的とした野犬の捕獲は、①どこの組織が②いつから③どのような方法で④どこで行っているのかご説明ください。

 

 

質問5.「ピースワンコ・ジャパンプロジェクト」について

 

ピースワンコ・ジャパンプロジェクトは独立した団体ではなく、母体であるピースウインズジャパンの一事業部として展開しておられますが、もし寄付額の全てを犬のために使用するとは限らないのであれば、無用な疑義回避のため、寄付者に向けて明示することが信頼性確保につながると存じますがいかがでしょうか?

また、今後このプロジェクトをピースワンコ・ジャパンとして独立した組織にするお考えはありますか?

 

 

以下につきましては、数字をお答え下さい。                   

 1. 広島県および同県内の自治体からの犬の引き取り数 

 2. 貴団体から譲渡された犬の総数

3. ピースワンコ・プロジェクトとしてこれまでに実施した不妊去勢手術頭数および譲渡成立後、飼い主による手術実施数(雄雌の内訳含む)

   (上記1~3については、2013~2017.2月まで年度別でお答え下さい)

4. 現在の貴団体関連施設内の犬の総数および不妊去勢手術済の犬の頭数(雄雌の内訳含む)

5. 保護収容時点での妊娠率

6. 県内で行った野犬および放浪犬の捕獲数

7. 現在、貴団体関連施設に勤務する臨床獣医師数

8. 現在、神石高原町の施設で犬の世話をするスタッフ、ボランティア数

9. 貴団体すべての関連施設および一時預かり宅における子犬の出生数

  (施設内の繁殖行動の有無ではなく、妊娠した成犬の収容に伴う対応)

          

 

お忙しいところ恐縮ですが、2017年3月末日までに、文書(郵送)にてご回答くださいますようお願い申し上げます。

 

敬具

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